古林形成外科-横浜院

医療コラム

陥入爪が痛い!すぐにできる応急処置とやってはいけない対処法を形成外科医が解説

陥入爪(かんにゅうそう)は、爪の端が周囲の皮膚に食い込むことで、赤みや腫れ、痛みを引き起こす病気です。

初期には「押すと少し痛い」「靴を履いたときだけ痛い」という程度でも、炎症が進行すると何もしていなくてもズキズキしたり、歩くことがつらくなるほど強い痛みが出たりすることがあります。

痛みが強いと、食い込んでいる爪を自分で深く切ったり、爪の角をほじり出したりしたくなるかもしれません。しかし、このような自己処置によって鋭い爪の角が残り、かえって陥入爪を悪化させることがあります。

この記事では、陥入爪が痛いときに自宅ですぐにできる応急処置、避けるべき自己処置、冷やしてもよいのか、市販薬や痛み止めの使い方、放置した場合に起こり得る症状について形成外科専門医の視点から詳しく解説します。

陥入爪が痛いときにできる応急処置

陥入爪が痛いときに重要なのは、「食い込んでいる爪を何とかして切る」ことではありません。

まずは爪と皮膚に加わる圧迫や摩擦を減らし、炎症をこれ以上悪化させないことが重要です。

軽症から中等症の陥入爪では、靴の調整やテーピングなどの保存的治療が選択肢になります。

H3 足を清潔に保つ

爪の周囲に炎症がある場合は、足を清潔に保ちましょう。

入浴時などに石鹸と流水でやさしく洗い、洗った後は水分をしっかり拭き取ります。

肉芽や傷があるからといって、強く擦ったり、何度も消毒液を使用したりする必要はありません。

特に膿や浸出液が出ている場合は、汚れた靴下やガーゼを長時間そのままにせず、清潔な状態を保つことが大切です。

爪の周囲を圧迫しない

陥入爪では、爪の端と周囲の皮膚が接触している部分に圧力が加わることで痛みが強くなります。

そのため、まず患部を圧迫しないようにしてください。

きつい靴下や先端の狭い靴などは避け、できるだけ患部に力が加わらない状態を作ります。

また、痛い部分を何度も指で押して確認することも刺激になるため避けましょう。

足に合った靴・サンダルを選ぶ

靴を履くと痛みが強くなる場合は、つま先に十分な余裕がある靴を選びます。

可能であれば、患部に直接圧力が加わりにくいサンダルなどを使用するのも一つの方法です。

ただし、サンダルであってもサイズが合わず、歩くたびに足の指が前方へ滑ってしまうものでは、かえって患部に負担がかかる場合があります。

単純に「大きい靴」を選ぶのではなく、つま先を圧迫せず、足が靴の中で過度に動かないものを選ぶことが大切です。

テーピングで爪と皮膚の接触を減らす

軽度の陥入爪では、テーピングによって痛みを軽減できる場合があります。

方法としては、爪そのものをテープで引っ張るのではなく、爪が食い込んでいる側の皮膚にテープを貼り、皮膚を爪から離れる方向へ引っ張って固定します。

これによって爪と皮膚の接触を減らし、食い込みによる刺激を軽減します。

ただし、テーピングをするだけで強く痛む場合や、肉芽が大きくなっている場合には無理に行わないでください。

痛みが強い場合は無理に歩かない

歩くたびに強い痛みがある場合は、患部に繰り返し負荷が加わっています。

仕事や学校などで歩かなければならない場合もあると思いますが、可能な範囲で歩行量を減らし、足を休ませましょう。

「爪を伸ばさなければならないから」と強い痛みを我慢し続ける必要もありません。

歩行に支障が出るほど痛い場合は、セルフケアだけで経過を見るのではなく、形成外科などの医療機関で診察を受けることをおすすめします。

陥入爪が痛いときにやってはいけないこと

陥入爪が痛いと、「とにかく食い込んでいる部分を取り除きたい」と考えてしまいがちです。

しかし、以下に示す自己処置によって一時的に痛みが軽くなっても、その後さらに悪化することがあります。

痛い部分の爪を深く切る

特に避けたいのが、爪の端を深く切り込むことです。

皮膚に当たっている爪を切れば、その場では痛みが軽くなることがあります。

しかし、爪の奥に鋭い角が残ると、爪が伸びてきた際にその部分が皮膚へ刺さり、再び陥入爪を起こすのです。

痛くなるたびに爪を深く切ることを繰り返すと、陥入爪を悪化させ、慢性化させる原因にもなります。

爪の角を無理にほじり出す

皮膚の中に埋まっている爪の角を、ピンセットや爪切りなどを使って自分でほじり出すことも避けてください。

皮膚を傷つけて出血したり、炎症を悪化させたりする可能性があります。

また、奥にある爪を完全に確認できない状態で切ると、中途半端な位置で爪が切れ、鋭い爪棘が残ることもあります。

肉芽を自分で切る・潰す

陥入爪が進行すると、爪の横に赤く盛り上がった肉芽が形成されることがあります。

肉芽は血管が豊富で非常に出血しやすいため、ハサミや爪切りで切ったり、指で潰したりしないでください。

また、肉芽だけを取り除いても、原因となる爪の食い込みが残っていれば再び形成される可能性があります。

膿を自分で絞り出す

膿が出ている場合も、指で強く押したり、針などを使って自分で膿を出そうとしたりしないでください。

皮膚をさらに傷つけ、感染を悪化させる可能性があります。

膿が出る、赤みや腫れが広がっている、熱を持っているといった場合は、医療機関で状態を確認してもらいましょう。

無理にコットンを詰める

コットンパッキングは、軽症の陥入爪で爪と皮膚の接触を減らすために行われる保存療法の一つです。

しかし、コットンが入らないほど爪が深く食い込んでいる状態で、痛みを我慢して押し込む必要はありません。

無理にコットンを入れると、かえって皮膚を傷つけたり、患部への圧迫が強くなったりすることがあります。

入らない場合は無理に続けず、テーピングなど別の方法を検討するか医療機関を受診してください。

陥入爪が痛いときは冷やしてもいい?

陥入爪が赤く腫れて痛い場合、「冷やした方がいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

短時間であれば、冷却によって痛みが一時的に軽減する場合があります。

一時的な痛みや腫れの軽減を目的に冷やすことは可能

炎症によってズキズキとした痛みや腫れがある場合、冷却によって一時的に痛みが和らぐことがあります。ただし、冷却はあくまで対症療法です。

痛みが軽くなったからといって、陥入爪そのものが改善したわけではありません。

保冷剤や氷を直接皮膚に当てない

冷やす場合は、保冷剤や氷をタオルなどで包んで使用してください。直接皮膚へ長時間当てると、低温による皮膚障害を起こす可能性があります。特に感覚が低下している方は凍傷などを起こす可能性があるため注意が必要です。

冷やしても爪の食い込みそのものは治らない

陥入爪の痛みの原因は、爪の端による皮膚への機械的刺激です。

冷却によって炎症や痛みが一時的に軽減しても、爪が刺さっている状態そのものを解除することはできません。

冷やしても何度も痛みが戻る場合には、原因となっている爪への治療を検討する必要があります。

陥入爪の痛みに市販薬・痛み止めは使える?

陥入爪の痛みが強い場合、市販の鎮痛薬を使用できる場合があります。ただし、薬は痛みを一時的に軽減するものであり、食い込んでいる爪そのものを治療するものではありません。

市販の鎮痛薬は一時的な疼痛緩和に使用できる

アセトアミノフェン(バファリンなど)やNSAIDs(ロキソニンなど)といった一般的な鎮痛薬は、使用できない持病や併用薬がなければ、一時的な疼痛緩和に用いられることがあります。

ただし、用量・用法を守り、持病がある方、妊娠中の方、他の薬を服用している方などは、医師や薬剤師へ確認してから使用してください。

痛み止めを何日も飲み続けなければ生活できない状態であれば、痛みを薬で抑え続けるのではなく受診をおすすめします。

塗り薬だけでは食い込んだ爪そのものは治せない

オロナインなどの市販の外用薬を塗っても、爪と皮膚の位置関係そのものを変えることはできません。同様に、抗菌薬の軟膏を塗ったとしても、食い込んでいる爪そのものがなくなるわけではありません。

塗り薬で一時的に炎症が改善したとしても、爪の刺激が続けば再発する可能性があります。

膿や強い炎症がある場合は自己判断で薬を使い続けない

膿が出ている場合や、赤み・腫れ・痛みが強くなっている場合には、塗り薬だけで長期間様子を見ないようにしましょう。

陥入爪では、感染の有無だけでなく、どの部分の爪が皮膚へ食い込んでいるかを確認することが重要です。

必要に応じて爪への処置と、感染がある場合にはそれに対する治療を行います。

痛い陥入爪を放置するとどうなる?悪化すると起こる症状

軽い陥入爪がすべて重症化するわけではありません。

しかし、爪が皮膚を刺激し続けると炎症が進行し、症状が強くなることがあります。

炎症が悪化する

最初は爪の横を押したときだけ痛かったものが、徐々に赤くなり、何もしていなくても痛むようになることがあります。

爪による刺激が続く限り、炎症を繰り返す可能性があります。

腫れや痛みが強くなる

炎症が進行すると、爪の横の皮膚が腫れ、さらに爪と接触しやすくなります。すると、爪が食い込み
炎症で皮膚が腫れ、さらに爪が当たりやすくなるという悪循環に陥ることがあります。

膿が出る

皮膚の傷から細菌感染を伴うと、膿が出ることがあります。膿だけでなく、赤みが足趾の周囲へ広がる、強く腫れる、熱感があるなどの症状がある場合には早めに受診してください。

肉芽ができる

爪による刺激が長期間続くと、爪の横に赤く盛り上がった肉芽が形成されることがあります。肉芽は少し触れただけでも出血しやすく、靴や靴下が当たることでさらに刺激されることがあります。

歩くことや靴を履くことがつらくなる

症状が進行すると、靴を履くだけで痛くなったり、足をかばわなければ歩けなくなったりする場合があります。日常生活に支障が出るほど痛みが強くなる前に治療を受けることが大切です。

陥入爪が痛い場合に形成外科を受診する目安

軽度の陥入爪であれば保存的なケアで改善することがあります。

一方、次のような場合には形成外科などへの受診をおすすめします。

何もしていなくても強く痛む

靴を履いたときだけではなく、安静時にもズキズキと強く痛む場合は炎症が強くなっている可能性があります。

膿・出血・肉芽がある

膿や肉芽がみられる場合は、単に爪が少し当たっているだけの状態より進行している可能性があります。自己判断で肉芽を切ったり膿を出したりせず、診察を受けましょう。

痛くて普通に歩けない

歩行に支障が出るほど痛い場合には、痛みを我慢して爪が伸びるのを待つ必要はありません。現在の爪の状態に応じて治療を検討できます。

セルフケアをしても改善しない・繰り返している

テーピングや靴の調整などを行っても改善しない場合や、同じ場所で何度も陥入爪を繰り返している場合には、原因となる爪に対する治療が必要になることがあります。

症状に応じて、保存療法のほか、食い込んでいる爪甲側縁への処置やフェノール法などを検討します。

陥入爪の痛みについてよくある質問

痛い状態陥入爪で肉芽もできています。自分で皮膚に食い込んでいいる部分を切ってから病院受診してもいいのでしょうか?

受診前に自分で切ることはおすすめできません。

皮膚に食い込んでいる爪を自分で切ろうとすると、奥に鋭い爪の角が残ったり、周囲の皮膚や肉芽を傷つけたりする可能性があります。

また、診察時には「爪のどの部分が皮膚を刺激しているのか」を確認することが重要です。肉芽ができている状態であれば、無理に自己処置せず、できるだけそのままの状態で受診してください。その方が正しく原因を究明できます。

陥入爪が痛いです。手術の際麻酔は体のどこに打つのでしょうか?片方の親指だけの治療費用も合わせて教えて下さい。

陥入爪の処置・手術では、一般的に治療する足趾に局所麻酔を行います。

爪そのものに麻酔を打ったり、親趾の腹などに直接注射をするとかなり痛みが強いため、親趾の付け根付近などから爪周囲へ向かう神経を麻酔する方法(趾神経ブロック)が用いられます。

麻酔が十分に効いたことを確認してから、食い込んでいる爪への処置を行います。爪郭のみの処置で終わるのか、爪母までしっかり処置すべきなのか、爪棘の形態や食い込みの強さにより術中に判断されます。

治療費は、行う処置の内容や保険診療・自由診療の違いによって異なります。そのため「片方の親指なら一律○円」とは限りません。

当院での具体的な費用については、診察後に必要な治療方法を判断したうえでご案内します。

参考までに一趾の治療で比較的簡単なものは14000円の3割負担(4200円)、爪母まで処置する複雑なものは24900円の3割負担(7470円)となり、これらに診察料や検査費などがかかり、およそ1万円から2万円の金額になるかと思われます。

陥入爪が痛すぎて歩くのがつらいです。頑張って爪を伸ばそうとしても、痛すぎて途中で爪を切ってしまいます。爪の1番食い込んでいるところを自分で切れたのですが。中途半端になっています。この場合、病院に行くとどのような治療をしていただけるのでしょうか?伸びてくるまで治療ができない。なんてことはないですよね?

必ずしも爪が伸びるまで待たなければ治療できないわけではありません。まず現在の爪の状態を確認し、中途半端に残った爪の角や爪棘が皮膚へ刺さっていないかを診察します。

状態によっては、局所麻酔をしたうえで食い込んでいる爪の一部を処置することも可能です。

また、炎症や肉芽の程度、これまで何度も繰り返しているかなどによっては、再発を防ぐために根治手術となるフェノール法などを検討することもあります。

痛みを我慢しながら無理に爪を伸ばす必要はありませんので、歩くことがつらいほどであれば早めに受診してください。

陥入爪が痛いのですが、オロナインを塗っても全く効果はありません。時間がなく病院へ行けないので、自分でできる治し方はありませんか?

オロナインなどの外用薬を塗っても、皮膚に食い込んでいる爪そのものを取り除くことはできません。

軽度であれば、

  • 患部を清潔に保つ
  • 先端の狭い靴を避ける
  • 爪の端を深く切らない
  • 適切なテーピングで爪と皮膚の接触を減らす

といった方法で症状が改善する場合があります。

ただし、強い痛みがある、膿が出る、肉芽ができている、歩行がつらいといった状態では、自分で治すことにこだわるのはおすすめできません。

特に食い込んでいる爪を自分で深く切ると、一時的に楽になっても再発・悪化することがあります。

時間を作れるタイミングで形成外科などを受診し、爪がどのように皮膚へ食い込んでいるのかを確認してもらいましょう。

まとめ

陥入爪が痛いときは、まず爪と皮膚への刺激を減らすことが重要です。

患部を清潔に保ち、つま先を圧迫する靴を避け、軽症であればテーピングなどによって爪と皮膚の接触を減らします。

一方、

  • 痛い部分の爪を深く切る
  • 爪の角をほじり出す
  • 肉芽を切る、潰す
  • 膿を自分で絞り出す
  • 痛みを我慢してコットンを押し込む

といった自己処置は避けてください。

また、冷却や市販の痛み止めによって一時的に痛みを軽減できる場合はありますが、これらは爪の食い込みそのものを治す治療ではありません。

強い痛み、膿、出血、肉芽がある場合や、痛くて歩くことが難しい場合、何度も再発している場合には、セルフケアだけで長期間様子を見ず、形成外科などで原因となっている爪の状態を確認し、症状に合った治療を受けることが重要です。

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