古林形成外科-横浜院

医療コラム

粉瘤が激痛で歩けない…応急処置と根治治療の流れを形成外科医が解説

「粉瘤が痛すぎて歩けない」「座ることもできないほど腫れている」——その状態は炎症性粉瘤の可能性が高く、皮膚の下に膿がたまり、強い炎症を起こしている可能性があります。

この段階では市販薬や痛み止めでは改善せず、早急に医師の処置(切開・排膿)と抗生剤治療が必要です。

この記事では、

  • 激痛を伴う粉瘤の痛みを抑える応急処置
  • 根治治療の方法(くり抜き法・切除法)
  • 受診すべき診療科
  • よくある質問(デリケートゾーン・痔との違い・痛みの強さ)
    を、形成外科の視点から詳しく解説します。

「歩くのもつらい」「どの科に行けばいいかわからない」という方は、この記事を読めば最短で痛みを抑え、再発しない治療の流れが分かります。

粉瘤ができて激痛で歩けない!痛みを抑える方法

抗生剤・軟膏で炎症を抑える

粉瘤は、皮膚の下に袋ができ内部に皮脂や角質が溜まる良性腫瘍ですが、感染を起こすと炎症性粉瘤となり、激しい痛みを伴うことがあります。

特に足の付け根・お尻・太ももの内側・陰部付近などは、歩くだけで皮膚が擦れ、激痛で歩行が困難になることも珍しくありません。

この段階では、自宅でできる応急処置は限られています。

冷やして炎症を鎮める・患部を清潔に保つ・圧迫しないようにする、くらいで大きな改善が得られない可能性が高いのです。

また、皮膚科などで抗生剤(内服・外用)や痛み止め(NSAIDsなど)を処方してもらうことで、一時的に炎症をコントロールできますが、

薬はあくまで一時的な対処法にすぎません。

痛みが強い場合はすでに膿が溜まっている可能性が高く、根治治療としての手術(切開排膿・摘出)が必要です。

根治治療(袋ごと摘出)を受ける

痛みの原因は、袋の中やその周囲に膿が溜まって圧がかかっていることです。

薬で炎症を抑えても袋が残っている限り、再発を繰り返します。

そのため、炎症が落ち着いたタイミングで袋ごと摘出する手術を行うことが、唯一の根本的な解決策です。

炎症が強いときは全ての袋を取り除く事ができず、まず「切開排膿」で膿を外に出し、数か月経って炎症が改善した後に「くり抜き法」や「切除法」で完全に袋を取り除きます。

この2段階治療により、再発を防ぎながら痛みを確実に取り除く事ができます。

激痛を治すには根治治療一択!当院の粉瘤治療の方法

くり抜き法(パンチ法)

炎症が治まった粉瘤や小さめの粉瘤には、くり抜き法が最適です。

特殊な器具(パンチ)で数mmだけ皮膚をくり抜き、袋ごと取り除く方法で、縫合の必要がないこともあります。

傷跡がほとんど残らず、翌日から歩行や仕事も可能なケースが多いのが特徴です。

軽い炎症が起きているくらいなら、炎症期でも袋を全て除去し根治する事が可能です。炎症が強い場合は先程説明した様に2回に分けて手術を行う必要があります。

切除法

粉瘤が大きい、炎症を繰り返している、深部に広がっている場合は切除法を行います。この方法は炎症が起きている際には適応とならず、袋がしっかりと形成されている非炎症期に行う必要があります。

皮膚を切開して袋全体を露出させ、確実に取り除き、縫合します。

手術は局所麻酔で日帰り可能。痛みは麻酔注射時のチクッとした刺激程度で、処置中の痛みはありません。

形成外科では、傷跡が目立ちにくいよう皮膚のしわやラインに沿って切開し、美容的にも自然な仕上がりを目指します。

粉瘤の根治治療を受けたい方は何科に行けばいい?

形成外科

痛みが強い、再発を繰り返している、見た目をできるだけきれいに治したい——そんな方には形成外科が最適です。

袋を取り残さないように確実に除去し、傷跡のデザインにも配慮した治療を受けられます。

皮膚科

炎症が軽い場合や、まず薬で様子を見る段階では皮膚科でも対応可能です。

ただし、歩けないほど痛い場合は手術が必要な状態のため、形成外科や外科への紹介になるケースが多いです。

外科

膿が広がって高熱を伴う場合や、深部に感染が及び筋肉や臓器などに到達するで場合にはそれぞれ専門の外科(脳外科、整形外科、腹部外科など)で排膿処置を行うこともあります。入院対応が必要な場合も外科での処置が適している事が多くあります。

早めの受診が、痛みの悪化と感染拡大を防ぐカギです。

粉瘤が激痛でQ&A

陰部の近くにしこりがあり激痛で歩けないほどでした。産婦人科ではなく外科を勧められましたが、どんな治療をしますか?痛みはありますか?

産婦人科でも対応してくれる場合もありますが、多くは形成外科で対応し、膿が溜まっている場合は切開排膿を行い、内部を洗浄して感染を鎮めます。

局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。

膿が出ると痛みは急速に和らぎます。その後、炎症が治まった段階で袋ごとの摘出を行えば再発も防げます。

粉瘤ができてあまりにも激痛なので皮膚科に行きましたが、飲み薬と痛み止めで様子を見ることになりました。薬を使い切るまでこのまま様子を見た方がいいのでしょうか?

薬で改善しないほどの痛みが続く場合、膿が溜まっている可能性が高く、切開による排膿が必要な状態です。

薬を使い切るまで待つのではなく、形成外科または外科を受診して、早めに処置を受けてください。放置すると袋が破れて感染が広がることもあります。

根治するには袋ごと切除する必要があります。それは炎症が落ち着いてからの対応になります。

肛門付近に粉瘤らしきできものがあり、歩くと激痛です。痔との違いが分かりません。何科に行けばいいですか?

肛門周囲にできるしこりは、粉瘤のほかに痔瘻(じろう)や膿皮症などの疾患の可能性もあります。

どちらも細菌感染による膿の貯留が原因で、症状が似ています。

まずは形成外科または肛門外科を受診し、触診やエコーで鑑別してもらいましょう。

粉瘤であれば局所麻酔で排膿が可能ですし、痔瘻であれば肛門外科で根治治療を受ける必要があります。

まとめ

  • 歩けないほどの激痛を伴う粉瘤は、膿が溜まった炎症性粉瘤である可能性が高い
  • 一時的な薬では治らず、切開排膿+袋の摘出による根治手術が必要
  • 痛みを我慢せず、早めに形成外科または外科へ受診するのが最短の改善ルート
  • 処置中の痛みは最小限で、膿を出すと痛みはすぐに軽減する
  • 再発防止と傷跡の仕上がりを重視するなら、形成外科での治療がおすすめ
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