脂肪腫とガングリオンの違いは?見分け方・治療方法・受診科を解説

皮膚の下にしこりができたとき、それが脂肪腫なのかガングリオンなのかを見分けるのは難しいものです。
脂肪腫は脂肪の塊、ガングリオンはゼリー状の液体が詰まった嚢胞で、見た目や触感は似ていても内容物や発生部位が異なります。
この記事では、脂肪腫とガングリオンの違い・見分け方、診断と治療法、受診すべき診療科、さらによくある質問への回答をまとめました。
「このしこりは脂肪腫?ガングリオン?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
脂肪腫とガングリオンの違い・見分け方
内容物の違い
- 脂肪腫:脂肪細胞が増殖してできた柔らかい脂肪の塊。袋状の被膜構造を持ち、自然に消えることはありません。
- ガングリオン:ゼリー状の粘液(関節液や腱鞘液)が袋にたまったもの。関節や腱の近くに発生しやすく、中身は透明〜黄色の液体です。
見た目・形状・できる場所の違い
- 脂肪腫は首・背中・腕・太ももなど体のどこにでもできます。皮膚の下に丸みを帯びた膨らみとして現れ、皮膚表面は正常なことが多いです。
- ガングリオンは手首や手指の関節、足首などに好発し、関節に近い場所に限られる点が特徴です。見た目は丸い膨らみで、動かすと関節の動きに影響する場合もあります。
触感・硬さの違い
- 脂肪腫は柔らかく、皮膚の下で“コリコリ”と動かせる感触があります。
- ガングリオンはやや弾力があり、硬さを感じることが多いです。場所によっては神経を圧迫し、しびれや痛みを伴う場合があります。
脂肪腫とガングリオンの治療方法
診断・検査方法
医師は視診や触診でおおよその鑑別が可能です。必要に応じて超音波検査やMRIを行い、内容物や発生部位を確認します。
手術方法の違い
- 脂肪腫:袋ごと切除することで再発を防ぎます。局所麻酔で日帰り手術が可能なことが多いです。
- ガングリオン:穿刺(針で中身を抜く)で一時的に小さくなることもありますが、袋が残るため再発しやすいです。根治には袋ごと切除し、関節腔と連続した管腔構造ごと除去する手術が必要です。
入院の有無
多くの場合は日帰り手術で対応できます。10cmを超える大きな腫瘍や深部にある場合、全身麻酔や短期入院が必要になるケースもあります。
脂肪腫とガングリオンができたら何科に行くべきか
- 形成外科:見た目の仕上がりを重視しつつ、腫瘍を確実に切除したい場合に最適。
- 皮膚科:まず相談や診断を受けたい場合に適しています。
- 整形外科:特にガングリオンで関節や腱の動きに関わる場合、整形外科が適しています。
脂肪腫とガングリオンに関して寄せられるQ&A
脂肪腫かガングリオンか判別できない腫瘍があります。手術となった場合手術時間はどれくらいかかりますか?
どちらも多くは20〜40分程度の日帰り手術で可能です。大きさや場所によっては1時間程度かかる場合もあります。
脂肪腫あるいはガングリオンが出来ていますが、痛み等はなく特に支障はありません。このまま放置してもいいのでしょうか?
良性であっても、脂肪腫は徐々に大きくなり、ガングリオンは再発や神経圧迫を起こす可能性があります。症状がなくても診察を受けておくと安心です。
脂肪腫やガングリオンはMRIやレントゲンを撮らないと判別できない病気ですか?
A.多くは視診と触診、エコー検査で鑑別可能です。MRIは深部や悪性腫瘍との鑑別が必要な場合に追加されます。レントゲンでは脂肪腫やガングリオンは映りません。
まとめ
- 脂肪腫は脂肪の塊、ガングリオンはゼリー状の液体が入った嚢胞で、性質やできる部位が異なる
- どちらも自然治癒は少なく、根治には手術が必要
- 多くは日帰りで対応可能だが、大きなものは入院が必要になる場合もある
- 迷ったら形成外科や整形外科での受診が安心