炎症性粉瘤の原因や治療について専門医が解説!

東京都台東区上野の「東京皮膚腫瘍ほくろと粉瘤クリニック古林形成外科上野院」です。当院では、日帰り手術による粉瘤の治療を行っています。
本記事では、炎症性粉瘤の特徴や原因、治療方法について解説します。ぜひご参考ください。
炎症性粉瘤とは

炎症性粉瘤とは、粉瘤が炎症を起こした状態を指し、痛みや腫れ、熱感、発熱、全身の倦怠感といった症状が現れるのが特徴です。ここでは、まず粉瘤の基礎知識を確認したうえで、炎症性粉瘤の原因や症状について解説します。
粉瘤とは
粉瘤は、「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれる良性の腫瘍で、皮膚の下に袋状の構造(嚢腫)ができ、その中に皮脂や角質などの老廃物がたまることで形成されます。
本来皮膚の表面にあるべき表皮の一部が外傷や摩擦などの刺激により皮膚の内部に入り込み、袋状の構造が作られることが発症のきっかけです。時間の経過とともに老廃物が蓄積し、皮膚の下にしこりとして現れるようになります。
粉瘤は、顔、首、背中、耳の後ろなど皮脂腺が多い部位に多く見られます。初期には数ミリ程度のやわらかいしこりとして出現し、痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。
炎症性粉瘤について
粉瘤に炎症が起こると、患部が急速に腫れあがり、強い痛みを伴う「炎症性粉瘤」の状態になります。赤みや熱感が現れ、炎症が進行すると発熱や全身のだるさ(倦怠感)を感じることもあります。
炎症の程度には個人差があり、軽度では「押すと痛む」程度ですが、重度になると安静時にも痛みが持続し、日常生活に支障をきたす場合もあります。小さな粉瘤であっても、一度炎症が起こると短期間で大きく腫れ上がり、強い痛みへと進行することがあります。
炎症が悪化し膿がたまると、夜間の睡眠を妨げるほどの激しい痛みに進行することもあります。特にワキの下や鼠径部など、皮膚が柔らかくよく動く部位では、腕や脚の動作に影響を及ぼすほどの痛みが生じることがあります。
炎症性粉瘤の原因
炎症性粉瘤の原因は、大きく分けて「細菌感染」と「異物反応」の2つが考えられます。
粉瘤の内部には、皮脂や角質などの老廃物が蓄積しており、細菌が繁殖しやすい環境になっています。皮膚の表面には「常在菌」と呼ばれる細菌が存在し、通常は皮膚のバランスを保っていますが、粉瘤内で細菌が過剰に増殖すると、免疫が過敏に反応し、炎症を引き起こします。
また、近年では、細菌感染だけでなく、「異物反応」が炎症の主な原因となるケースもあることが明らかになっています。粉瘤の袋状の構造(嚢腫)が圧迫や摩擦により破裂すると、内部の老廃物が皮下組織に漏れ出します。この老廃物が体内の異物として認識されると、免疫細胞が反応し、強い炎症反応が誘発されます。
炎症性粉瘤の治療法

炎症性粉瘤の治療には、主に「抗生物質の内服」「切開による膿の排出(切開排膿処置)」「手術による摘出(摘出手術)」があります。それぞれの治療法の特徴と注意点について解説します。
抗生物質の内服
炎症性粉瘤のうち、細菌感染が関与している場合には、抗生物質を投与して感染拡大を抑えることがあります。ただし、粉瘤の内部には血管が通っていないため、抗生物質が十分に浸透せず、効果が限定的であることが多いです。
そのため、抗生物質はあくまでも補助的な対処として用いられ、抗生物質のみでの根治は期待できません。
切開排膿処置
炎症が強く、膿がたまっている場合には、患部を切開して内部の膿や老廃物を排出する「切開排膿処置」を行います。切開排膿処置により、腫れや痛みが一時的に緩和されますが、あくまでも応急処置であり、根本的な治療にはなりません。
粉瘤の袋状の構造(嚢腫)が体内に残っている限り、再発のリスクは高くなります。
摘出手術
炎症性粉瘤を根本的に治療するためには、被膜ごと摘出する外科手術が必要です。
当院では、抗生物質の内服や切開排膿処置のみでは再発のリスクが高く、根本的な治療にはならないケースが多いため、炎症を伴う場合であっても、基本的には日帰りでの摘出手術を実施しています。炎症を起こした粉瘤では、袋状の被膜組織が皮膚と癒着していることがあり、摘出が困難になるケースもありますが、可能な限り傷を小さく抑えながら、丁寧な摘出を行っています。
摘出手術においては、炎症の経過が短い場合には、被膜を含む袋状の組織を一塊で摘出できる可能性が高く、再発リスクも低くなります。一方、炎症が長期間にわたって続いた粉瘤では、被膜が周囲の組織と癒着し、完全な摘出が難しくなることがあり、再発のリスクが高まる傾向があります。
このような理由から、できるだけ早期の摘出手術が推奨されます。
まとめ

炎症性粉瘤とは、粉瘤が炎症を起こした状態を指し、痛みや腫れ、熱感、発熱、倦怠感などの症状を伴うのが特徴です。
主な原因は、「細菌感染」と「異物反応」に大別されます。細菌感染では、粉瘤内にたまった老廃物に細菌が繁殖することで炎症が引き起こされます。一方、異物反応では、粉瘤の被膜が破れ、中の内容物が皮膚内に漏れ出すことにより、体が異物と認識して免疫反応が起こり、炎症を引き起こします。
治療法としては、「抗生物質の内服」「切開・排膿処置」「外科的摘出手術」があり、根本的な治療を行うには、被膜ごと取り除く外科手術が必要です。
炎症が軽度のうちに摘出手術を行えば、被膜を一塊で除去しやすく、再発のリスクも低く抑えることができます。しかし、炎症が長期化した粉瘤では、被膜が周囲組織と癒着し、完全な摘出が困難になることがあり、再発のリスクが高まる傾向にあります。
このような理由から、炎症性粉瘤に伴う症状がみられた場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
炎症性粉瘤の治療は当院までご相談ください

東京都台東区上野の「東京皮膚腫瘍ほくろと粉瘤クリニック 古林形成外科上野院」では、炎症性粉瘤の治療を日帰り手術で行っております。
当院では、炎症性粉瘤に対して抗生物質の内服や切開・排膿処置のみでは再発のリスクが高く、根本的な治療にはならないケースが多いため、炎症を伴う場合であっても、原則として日帰りでの摘出手術を実施しています。炎症を起こした粉瘤では、袋状の被膜組織が皮膚と癒着していることがあり、摘出が難しい場合もありますが、可能な限り傷を小さく抑えながら、丁寧に摘出を行っております。
炎症性粉瘤でお困りの方は、当院までお気軽にご相談ください。