古林形成外科-横浜院

医療コラム

太ももの外側に“押すと痛いしこり”ができたら?原因と受診すべき診療科を形成外科が解説

太ももの外側に突然できた“押すと痛いしこり”。

「粉瘤なのか?脂肪腫なのか?」「筋肉や骨の病気?」と不安になりますが、

実際には 皮膚のしこり・皮下の腫瘍・血管の異常・骨の病変 など、原因は多岐にわたります。

この記事では、太ももの外側に出現する痛みのあるしこりについて、

  • 考えられる病気
  • どの診療科に行けばよいか
  • それぞれの科で可能な治療

を詳しく解説します。

「何科に行くべきかわからない」「放置して大丈夫?」と悩む方は、この記事を読むことで最短ルートで適切な医療にたどり着けます。

太ももの外側にできる“押すと痛い”しこり

太ももの外側は、皮膚・皮下脂肪・筋肉・血管・神経が複雑に重なる部位です。

そのため「押すと痛いしこり」が現れたとき、原因は一つとは限りません。ここでは代表的な疾患を解説します。

 粉瘤

粉瘤は、皮膚の下に袋(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂が溜まる良性腫瘍です。

太ももにもよくでき、炎症を起こすと

  • 赤く腫れる
  • 押すと痛い
  • 熱を持つ

という症状が出ます。

放置すると膿がたまり、破裂することもあるため早めの受診が推奨されます。

 脂肪腫

脂肪腫は脂肪組織が増殖した腫瘍で、通常は痛みがありません。

しかし、

  • サイズが大きい
  • 神経を圧迫している
  • 炎症を伴っている

といった場合、押すと痛みが出ることがあります。

太ももの外側は神経が多いため、脂肪腫でも「押すと痛い」と感じやすい部位です。

下肢静脈瘤(血管のこぶ)

太もも外側に“ボコッ”としたふくらみを触れ、押すと痛む場合、静脈瘤の可能性もあります。

  • 立ち仕事
  • 妊娠
  • むくみやすい
  • 家族歴がある

方に多く、血管の弁が弱くなることで血液が逆流し、血管が膨らんで“こぶ”のように触れます。

静脈瘤が原因でその皮膚周囲が潰瘍化してしまう場合もあります。

骨肉腫(骨の腫瘍)

非常に稀ですが、骨由来の腫瘍(骨肉腫)が痛みのあるしこりとして感じられることがあります。

特徴は以下の通りです。

  • 深部で痛い
  • 夜間痛
  • 運動で悪化
  • 熱感を伴うことがある

皮膚表面のしこりとは異なり、触れると奥の方に鈍い痛みがあるのが特徴です。

リンパ節の腫れ

太ももの付け根に近い外側部分にはリンパ節があり、感染症などで腫れることがあります。

  • 風邪
  • 皮膚炎
  • 虫刺され

などの影響で一時的に腫れることもありますが、押すと痛い場合や長期間続く場合は受診が必要です。

太ももの外側にできるしこりを治療できる診療科

原因によって受診すべき診療科は異なります。

誤った科に行くと「様子見」と言われて終わってしまい、治療が遅れることもあります。

 皮膚科で対応できるケース

  • 粉瘤
  • 皮膚炎によるしこり
  • 膿が溜まっている

皮膚科では

  • 抗生物質
  • 炎症を抑える内服薬
  • 切開排膿

などの初期治療が可能です。

ただし、粉瘤や脂肪腫の袋ごと取る手術(根治手術)はできない皮膚科も多いため、形成外科への紹介となる場合があります。

形成外科で対応すべきケース

  • 粉瘤の根治手術(くり抜き法・切除)
  • 脂肪腫の摘出
  • 傷跡をできるだけ目立たせたくない
  • しこりの正確な診断が必要

形成外科は皮膚・皮下腫瘍の手術に特化しているため、

太ももの外側のように動く部位でも、よりきれいな傷跡を目指した手術が可能です。

「とりあえず診断してほしい」という場合も形成外科は最適です。

整形外科へ行くべきケース

  • 骨の痛み
  • 深部の腫瘍
  • 運動時に悪化する痛み
  • 下肢静脈瘤疑い

がある場合。

骨由来の腫瘍や筋肉・血管の異常は、整形外科または血管外科での対応となります。

太ももの外側は筋肉量が多く「皮膚のしこり」と「筋肉・骨のしこり」の区別がつきにくいため、

痛みの場所が“深い”と感じる場合は整形外科も選択肢に入ります。

まとめ

  • 太ももの外側の“押すと痛いしこり”は、粉瘤・脂肪腫・静脈瘤・骨腫瘍など原因が幅広い
  • 痛みの種類(表面か深部か)、大きさ、熱感の有無が診断のヒントになる
  • 皮膚に近いしこりは皮膚科 or 形成外科、深い痛みや骨の可能性がある場合は整形外科へ
  • 粉瘤・脂肪腫の根治治療をしたい場合は形成外科が最適
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