古林形成外科-横浜院

医療コラム

首のうしろにできた脂肪腫は放置して大丈夫?特徴・原因・治療法を形成外科医が解説

首のうしろに“しこり”や“できもの”を見つけると、「これは脂肪腫なの?それとも悪い病気?」と不安になる方は少なくありません。

脂肪腫は良性腫瘍で命に関わることはほとんどありませんが、自然に消えることはなく、放置すると徐々に大きくなる性質があります。

この記事では、首のうしろにできる脂肪腫の特徴や原因、受診すべき診療科、治療方法(切開・くり抜き法)、そしてよくある質問への回答をまとめました。

「手術すべきか迷っている」「悪性ではないか心配」という方は、ぜひ参考にしてください。

首にできたできもの、脂肪腫かも?脂肪腫の特徴

しこりの硬さと動き方

脂肪腫は皮膚の下にできる柔らかい腫瘍で、押すと「コリッ」とした感触があり、ある程度皮下で動くのが特徴です。粉瘤のように中央に黒い点はなく、炎症がなければ赤みや痛みは伴いません。

大きさの変化

数mm~10数cmまでさまざまですが、時間の経過とともに少しずつ大きくなります。5cm以上になると「巨大脂肪腫」と呼ばれ、切除時に大きな切開が必要になります。早期に取れば傷跡が小さく済むのが重要なポイントです。

イボやリンパ節腫大との違い

  • イボ:皮膚の表面に硬く盛り上がり、触るとザラつきがある。
  • リンパ節腫大:感染後に腫れることが多く、押すと痛む。弾力があり、多くは数週間程度で縮小する。
  • 脂肪腫:皮膚表面は正常で、皮下に「柔らかい塊」として触れる。大きさは縮小せず、徐々に増大する。

首のうしろに脂肪腫ができる原因

脂肪腫の正確な原因は不明ですが、次の要素が関与すると考えられています。

  • 遺伝的体質(家族に脂肪腫ができやすい傾向がある)
  • 外傷や慢性的な刺激による脂肪組織の変化
  • ホルモンバランスの影響
  • 代謝異常や生活習慣

良性腫瘍であり命に関わることはほとんどありませんが、自然に消えることはなく、大きくなるほど切除の負担が増します。

首のうしろの脂肪腫は何科に行くべきか

形成外科に相談するメリット

形成外科は腫瘍の切除と傷跡の仕上がりに配慮できる診療科です。特に首は目立つ部位のため、シワや皮膚のラインに沿った切開や丁寧な縫合法で傷跡を最小限に抑えることが可能です。さらに切除した組織は病理検査に回すため、脂肪腫に似た悪性腫瘍(脂肪肉腫など)を確実に除外できます。

皮膚科で対応できる場合

まず「このしこりが何か診てもらいたい」という段階では皮膚科受診も適切です。小さな脂肪腫なら皮膚科で切除できる場合もありますが、場所や大きさによっては形成外科への紹介となります。

整形外科を選ぶケース

首の深部や筋肉層に近い大きな脂肪腫の場合、整形外科での診断・切除が検討されることもあります。ただし表在性の脂肪腫であれば、形成外科が第一選択です。

首の後ろの脂肪腫の治療方法

切開法による切除

局所麻酔を行い、皮膚を数cm切開して脂肪腫を袋ごと取り出す方法です。再発も少なく、脂肪腫における唯一の治療法とされています。数cm程度の脂肪腫であれば20~30分ほどで終了し、1週間前後で抜糸となります。

術後のアフターケア

  • 術後1~2週間はテープやガーゼで傷口を保護
  • 紫外線対策を徹底(色素沈着予防のため)
  • 抜糸後は保湿やUVケアを継続することで、傷跡がより目立ちにくくなる

首の後ろに脂肪腫Q&A

首の後ろに数センチほどの脂肪腫らしきものがありますが、痛み等はありません。手術で取り除くべきでしょうか?

痛みがなくても今後大きくなります。小さいうちに切除した方が手術負担も傷跡も少なく済みます。特に首は目立つ部位なので、形成外科での早期切除がおすすめです。

脂肪腫は手術でしか治らないのでしょうか?自分で取ると再発したり他の部位に移動したりしますか?

脂肪腫は薬や自然治癒では消えません。自分で潰すと感染や傷跡の原因になり、袋が残れば必ず再発します。脂肪腫自体が“移動”することはありませんが、体質によって別の場所に新しくできることはあります。

首の後ろに注射するのが怖いです。局所麻酔の痛みはどれくらいですか?大きい場合は全身麻酔になることもありますか?

局所麻酔は数秒チクッとする程度で、その後は処置中の痛みを感じにくくなります。直径5cm以上の巨大脂肪腫や複数同時切除の場合は、全身麻酔が選択されることもありますが、多くは局所麻酔で対応可能です。

首の後ろにあるできものが脂肪腫か悪性リンパ腫か不安です。症状がなくても受診すべきでしょうか?

悪性リンパ腫では微熱・寝汗・体重減少などの全身症状を伴うことがあります。ただし症状がなくても見た目だけで判断は不可能です。安心のためにも医師の診察と、必要に応じてエコーや病理検査を受けることが大切です。

まとめ

  • 首のうしろの脂肪腫は自然に消えず、放置すると大きくなり治療負担が増える
  • 小さいうちに切除すれば傷跡も小さく、再発も防げる
  • 形成外科なら「安全+見た目への配慮+病理検査で安心」が揃う

首の後ろにしこりを感じたら、自己判断せず早めに形成外科で相談することが最も安心・安全な選択です。

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