形成外科とは

形成外科は、体表面に現れたさまざまな形態や機能の問題を外科的に修復し、患者の生活の質(QOL)を向上させることを目的とした診療科です。この分野では、組織の異常や変形、欠損した部分を治療し、失われた機能を回復させることを目指します。
形成外科全般の診療
形成外科は、体表面に現れたさまざまな形態や機能の問題を外科的に修復し、患者の生活の質(QOL)を向上させることを目的とした診療科です。この分野では、組織の異常や変形、欠損した部分を治療し、失われた機能を回復させることを目指します。
皮膚に発生する腫瘍には、皮膚表面に現れるものや皮膚の下に隠れているものなど、多岐にわたる種類があります。腫瘍の発生部位や状態は人それぞれ異なりますが、最も重要なのは腫瘍が良性か悪性かを見極めることです。この診断結果に基づいて、適切な治療方法が選択されます。
体表面にできた良性腫瘍の治療では、基本的に腫瘍(できもの)の摘出手術が行われます。良性腫瘍の手術は、見た目や機能をできるだけ損なわないように配慮して実施されます。腫瘍の種類や大きさに応じて、局所麻酔で対応できる簡易的なものから、全身麻酔が必要な場合まで、治療方法が異なります。
悪性腫瘍は局所で進行し、増大する傾向があるため、早期の対応が重要です。治療では、病変部を正常な組織を含めて広範囲に切除する必要があります。また、切除後に生じる変形を最小限に抑えるため、再建手術が行われる場合もあります。
代表的な良性腫瘍
ほくろ
粉瘤
脂肪腫
類皮嚢腫
石灰化上皮腫
異物肉芽腫
耳下腺腫瘍
顎下腺腫瘍
副乳
代表的な悪性腫瘍
基底細胞がん
扁平上皮がん
日光角化症
ボーエン病
悪性黒色腫
軟部悪性腫瘍
パジェット病(乳管がんが乳頭の皮膚に進展したもの)
形成外科では、生まれつき体にある「あざ」や、耳、口などの体表面の部位における形態や色の異常をすべて治療の対象としています。これらの先天異常に対し、その形態や機能の改善を目指して治療を行います。
あざには、赤あざ、青あざ、黒あざなど、皮膚の異常な色調を特徴とするものや、表面が隆起しているものなど、さまざまな種類があります。それぞれの特性や症状に応じて、適切な治療法が選択されます。
耳、口、鼻、まぶた、へそ、性器、手指など、体のさまざまな部位に現れる形態や色の異常も、形成外科で治療が可能です。以下のような先天性の異常に対し、患者の生活の質(QOL)向上を目指した治療が行われます。
小耳症・耳垂裂・耳瘻孔
口唇口蓋裂
先天性眼瞼下垂
臍突出症・臍ヘルニア
尿道下裂
合指症・多指症 など
外傷とは、物理的、機械的、化学的な外力によって生じた組織や臓器の損傷(けが)を指します。形成外科では、頭部、顔面、手足などの体表面に生じたけがややけど、その手術後の傷あとや変形などを、できるだけ綺麗に治す治療を行います。
切り傷(切創)、擦り傷(擦過傷)、刺し傷(刺創)、咬み傷(咬傷)、やけど(熱傷)、しもやけ(凍瘡)の治療
事故などによる皮膚の剥離や裂け(裂挫創)の治療
顔の骨折やそれによって生じたゆがみの修正
ケロイドやひきつれがある傷あとの修復
形成外科は、生まれつきの異常やけが、または腫瘍(できもの)などが原因で起こる機能や形態の問題を、主に外科的な手術によって改善し、できる限り正常な状態へ回復させることを目的とする診療科です。その治療対象は、頭部や顔面、手足などを含む体表全体にわたります。
以下では、形成外科と他の診療科の違いについて詳しく説明します。
整形外科は、骨や関節、筋肉、神経などの「運動器」と呼ばれる構造に関わる診療科であり、これらの機能を改善することに重点を置いています。主な治療対象は、背骨や骨盤などの体を支える骨格や、それに付随する筋肉や関節です。代表的な症状には、腰痛や膝の痛み、さらには四十肩や五十肩などがあります。
一方で、形成外科は、生まれつきの異常やけが、疾患によって生じた体表面の形態や機能の問題を修復・改善することを専門としています。そのため、整形外科が扱う領域とは目的や治療内容が大きく異なります。
形成外科は、機能や形態に支障がある場合や、生まれつきの異常が見られるケースに対して治療を行います。外傷や疾患によって損なわれた部位を可能な限り修復し、正常な状態に近づけることを目標としています。
これに対して、美容外科(美容整形)は、病気や異常がない健康な部位をより美しく整えることで、生活の質や満足度を向上させることを目的としています。美容外科は、形成外科の技術を応用して行う治療の一分野と考えることができます。
形成外科は、体表面を可能な限り綺麗に仕上げることを目指す外科の専門分野です。形成外科医は、皮膚や傷、瘢痕(傷あと)の治療に関する高度な知識と技術を持ち、特殊な縫合法や手術技術を駆使して治療を行います。また、治療にあたっては素材や機器を適切に選択し、傷をできるだけ綺麗に治すことを目標としています。
「けが」や「やけど」、手術後の瘢痕を完全に消すことは医学的には難しいものの、形成外科ではそれらを目立たなくすることが可能です。現在の治療法では、「よく見なければ気づかない」「角度や光の当たり具合によって見えることがある」といったレベルまで治療することが可能です。(ただし、瘢痕の大きさや部位、皮膚の状態により治療効果には個人差があります。)
形成外科では、患者様一人ひとりの状態に合わせた専門的な治療を提供し、できる限り綺麗な仕上がりを目指します。まずはお気軽にご相談ください。