粉瘤の治療は古林形成外科上野院|形成外科専門医による治療

粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤(アテローム)について

「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれる粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織が形成され、その中に皮脂や角質などの老廃物がたまる良性の腫瘍です。
体のどこにでも発生する可能性があり、特に顔面、首、背中、耳の後ろなどによく見られます。

粉瘤は大きなニキビと誤解されがちですが、性質は異なります。
ニキビは毛穴の詰まりが原因で自然治癒が期待できることもありますが、粉瘤は老廃物が袋状の組織内にたまることで発生し、自然に治ることはありません。治療には、袋状の組織全体を摘出する手術が必要です。

初期の粉瘤は数ミリ程度の小さな隆起として現れ、痛みやかゆみを伴わず、触れると小さなしこりのように感じられます。この段階では特に問題はありませんが、放置すると次第に大きくなる可能性があります。
進行した粉瘤は皮膚が顕著に盛り上がり、触れると独特の悪臭を発することがあります。さらに細菌感染により炎症が起きると、化膿して発熱や強い痛みを伴うことがあり、このような場合は早急な処置が必要です。

動画解説|粉瘤とは

粉瘤の症状

初期の粉瘤は痛みやかゆみがないため、背中などの触れにくい場所に生じた場合は、大きくなるまで気付かないことも多いです。一方で、顔や首などの目立つ部位であれば、早期に発見することが可能です。
また、初期段階の小さなしこりに気付いても、炎症を起こして赤く腫れている場合は、ニキビと誤解されることも少なくありません。

粉瘤は自然に治ることはなく、内部に老廃物が蓄積されると徐々に肥大し、場合によっては数センチ以上に成長することもあります。かなり大きくなった段階でニキビとは違うと気付く方もおられます。
また、独特の臭いを発することがあり、この臭いがきっかけで粉瘤に気付くケースも見られます。

粉瘤で生じる痛みについて

通常、粉瘤には痛みはありません。しかし、細菌感染や内部での破裂が起こると、炎症が生じ、化膿や痛み、腫れを引き起こすことがあります。
この状態は「炎症性粉瘤」と呼ばれます。

炎症性粉瘤の場合、排膿処置と抗生物質による治療が行われ、症状の緩和が期待できます。ただし、これらの治療は粉瘤そのものを治すものではありません。皮膚下に袋状の組織が残っている限り、排膿処置だけでは炎症が再発するリスクが残ります。

特に、一度でも化膿を起こした粉瘤は再発のリスクが高くなるため、根本的な治療として、皮膚下の袋状組織を完全に除去する摘出手術が推奨されます。

粉瘤の原因

粉瘤の発症原因とメカニズム

粉瘤は、皮膚の表皮成分が皮下に入り込み、袋状の嚢腫(のうしゅ)を形成することから始まります。この嚢腫内に皮脂や角質などの老廃物がたまり、独特の臭いを放つことが特徴です。

多くの場合、粉瘤の発症原因は明確ではありませんが、ウイルス感染や皮膚の小さな外傷がきっかけとなる場合もあります。また、体質的に粉瘤ができやすい方もおり、複数箇所に発生することもあります。

初期の粉瘤は小さなしこりとして現れることが多いですが、時間の経過とともに少しずつ拡大します。放置すると、細菌感染を引き起こし、炎症や痛みを伴うリスクが高まります。

一度形成された嚢腫は、圧出だけでは完全に取り除けないため、再発する可能性が高く、根本的な治療には手術による摘出が推奨されます。

炎症が起きる理由

粉瘤は、炎症を引き起こして腫れや痛みを伴うことがあります。

従来は、粉瘤による炎症の原因は細菌感染と考えられていましたが、近年では、細菌感染以外の要因でも炎症が発生することが報告されています。
その一例として、粉瘤の袋状の組織が圧力で破れ、内部にたまっていた老廃物が周囲に漏れ出ることが挙げられます。このタイプの炎症が、細菌感染によるものよりも多く見られることが分かっています。

細菌感染が原因でない場合、抗生物質による治療効果は期待できません。そのため、早期に手術で摘出することが推奨されます。ただし、細菌感染が合併している可能性もあるため、手術と抗生物質治療を併用することが適切な場合もあります。

粉瘤は早期治療がポイント

粉瘤は、良性腫瘍の一種で、見た目がニキビや吹き出物に似ていますが、対処法は大きく異なります。粉瘤は自然に治ることはなく、完治するには摘出手術が唯一の方法です。そのため、自己判断で処置せず、放置するのも避けることが重要です。
粉瘤が大きくなると治療が難しくなるうえ、独特の臭いが生じることもあります。

皮膚にしこりを感じたら、粉瘤の可能性があります。早期発見と早期治療が重要ですので、気になる症状があれば早めに専門医に相談することをおすすめします。

粉瘤の治療(手術)は保険適用

粉瘤の治療における検査や診断、手術などの診療費用は、すべて健康保険や公費の適用対象となります。

また、個人で医療保険に加入されている場合、手術給付金などの保険金を受け取れる可能性があります。治療を受ける際には、ご自身の保険契約内容をご確認ください。

粉瘤の治療

当院では、粉瘤の状態に合わせて適切な手術方法を選択しています。主な治療方法として、「切開法」と「くり抜き法」の2種類があります。

手術の際は、患者様の負担をできるだけ軽減するために、極細針を使用して局所麻酔を施し、痛みを最小限に抑えています。
また、必要に応じて生理食塩水や麻酔薬を注入し、皮膚と周囲の組織を丁寧に剥離(hydrodissection)することで、治療の精度を高めています。

動画解説|粉瘤の治療

くり抜き法

くり抜き法は、トレパン(円筒状のメス)やメスを使って粉瘤に小さな穴を開け、内容物を絞り出した後に袋状の組織(被膜)を取り除く手術方法です。

くり抜き法は、小さな切開で済むため、傷あとが目立ちにくい点がメリットです。また、手術時間が5〜20分程度と短く、患者様への負担を抑えつつ、整容面にも配慮された方法といえます。

手術の流れ

腫瘍周辺に局所麻酔

STEP1

ペンで対象部位にマーキングを行い、粉瘤の周辺に局所麻酔を施します。

粉瘤直上の皮膚を小さくくり抜く

STEP2

トレパンやメスで粉瘤直上の皮膚を小さくくり抜き、穴を開けます。

垢や皮脂などの老廃物を絞り出す

STEP3

垢や皮脂などの老廃物を絞り出します。

袋状の組織(被膜)を摘出

STEP4

袋状の組織(被膜)を丁寧に摘出します。

切開した傷を縫合

STEP5

止血を十分に行った後、切開した傷を縫合します。※傷あとをきれいにするためには、形成外科的な縫合法が重要なポイントです。

動画解説|くり抜き法による粉瘤手術

切開法

切開法は、粉瘤の真上の皮膚を切開し、粉瘤全体を取り除く方法です。
この方法では切開範囲が広くなるため、くり抜き法と比較すると傷あとがやや大きくなる可能性がありますが、再発率が低いというメリットがあります。
炎症を伴う粉瘤や強い癒着がある場合、大きな粉瘤がある場合には、切開法での治療が推奨されます。

手術の流れ

腫瘍周辺に局所麻酔

STEP1

切開ラインをマーキングし、粉瘤の周囲に局所麻酔を施します。

メスで皮膚切開を行う

STEP2

メスで慎重に皮膚を切開します。

老廃物を取り除く

STEP3

皮脂などの老廃物をきれいに取り除きます。

粉瘤をまるごと摘出

STEP4

被膜を丁寧に剥がし、粉瘤全体を摘出します。

切開ラインをデザイン

STEP5

縫合時には皮膚にシワが残らないよう、切開ラインをデザインしながら縫合します。

切開した部分を縫合

STEP6

止血後、切開部分を慎重に縫合します。※形成外科的な縫合法を使用することで、より目立ちにくい仕上がりが可能です。

動画解説|切開法による粉瘤手術

当院の粉瘤治療の特徴

特徴1.丁寧な診察と患者様に合わせた治療提案

しっかり診察した上で適切な治療方針をご提案

当院では、粉瘤が疑われる腫瘍に対して丁寧な診察を行い、適切な診断と治療方針をご提案しています。診断結果に基づき、患者様一人ひとりの状況やご希望を尊重し、最適な治療法を選択していきます。

粉瘤手術は、体への負担が比較的少なく、外来で受けることが可能です。しかし、手術に対する不安や傷あとへの懸念があるのは当然です。そこで、当院では事前にしっかりと説明と相談の時間を設け、患者様の不安を軽減するよう努めています。各患者様の状況に合わせた治療方法を提案し、安心して治療に臨んでいただけるよう努めています。

特徴2.様々な工夫で手術の痛みを軽減

手術の痛みを軽減する様々な工夫

当院では、痛みが苦手な方にも安心して手術を受けていただけるよう、痛みの軽減に対する様々な取り組みを行っています。

まず、手術時には局所麻酔を使用して痛みを軽減しています。さらに、局所麻酔の注射時の痛みにも配慮し、痛みの軽減が期待できる極細の針を使用するほか、薬剤の配合にも工夫を凝らしています。

個別の対応も可能ですので、痛みに関するご不安やご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。

特徴3.日帰り手術による粉瘤治療

日帰り手術による粉瘤治療

当院の粉瘤の摘出手術は、患者様の負担を最小限に抑えるため、日帰りを基本としています。炎症性の粉瘤の場合でも、手術当日にお帰りいただくことが可能です。

事前の診察で粉瘤の状態をしっかり確認し、日帰り手術が適応できるかどうか慎重に判断いたします。
なお、全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の可能性がある場合には、患者様の安全を最優先し、提携する大学病院など専門の医療機関をご紹介し、適切な治療が受けられるようサポートいたします。

特徴4.短時間で傷あとが目立たないように配慮

傷あとが目立たない手術

当院では、形成外科的な特殊な縫合技術を用いることで、傷あとを目立たせずに、機能の回復を目指した手術を行っています。

粉瘤をはじめ、気になる皮膚のできものがある場合は、お気軽にご相談ください。

当院の粉瘤治療の流れ

受診予約

受診を予約する際は、電話またはホームページのWEB予約からお願いいたします。

tel03-6284-3611

診察

粉瘤の疑いがある場合でも、他の種類の腫瘍である可能性があるため、手術の必要性については診察後に慎重に判断します。

粉瘤の大きさや位置、炎症の状態、既往歴、エコー検査の初見などを総合的に評価し、患者様のご希望を踏まえたうえで治療方針を決定いたします。

手術

治療方針に従い、日帰り手術にて治療を行います。手術後は、以下の点にご注意いただきますようお願いいたします。

手術後の注意点

創部のケア

手術後は創部をガーゼで保護した状態で帰宅していただきます。
1〜3日はガーゼが血で滲みやすくなることがあるため、出血や体液が落ち着くまでは毎日取り替えてください。出血や体液が収まったら、テープでの保護に切り替えることが可能です。
ガーゼ交換時にシャワーで傷を洗い流しても問題ありません。

入浴

シャワーは手術の翌日から可能です。ただし、感染リスクを避けるため、抜糸まではお風呂に浸かることは控えてください。

運動

運動制限の範囲は、創部の場所や運動内容によって異なります。詳細は手術後にご説明いたします。

飲酒

アルコール摂取により血流が良くなると、血腫(血のかたまり)のリスクが高まる恐れがあります。そのため、手術当日と翌日はお酒の摂取を控えてください。

術後の合併症・副作用

傷あと

手術は可能な限り傷あとが目立たないように配慮して行いますが、粉瘤のサイズや部位、状態によっては、どうしても傷が残る可能性があります。

盛り上がりや硬さ

手術から2〜3週間が経過すると、傷あとは盛り上がって硬くなります。これは、傷を修復しようとする肉芽組織の増殖による自然な治癒反応です。

多くの場合、約3カ月で傷が落ち着きはじめ、6カ月から1年かけて柔らかく平らな状態に変化します。しかし、体質や傷の場所によっては、盛り上がりや硬さが長引くことがあります。この状態を「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」といいます。

手術後に肥厚性瘢痕やケロイドの兆候がみられる場合は、速やかに医師にご相談ください。その場合、内服薬や外用テープを用いて慎重に治療を進めます。

薬剤による副作用

使用する麻酔や処方薬によっては、アレルギー症状などの副作用が現れる場合があります。

再発について

粉瘤が再発する可能性はゼロではありません。そのため、注意深く慎重に手術を行います。

粉瘤の治療費用

露出部(顔、首、肘から指先まで、膝から足先まで)の場合

切除した粉瘤の直径の合計 3割負担 1割負担 別途費用
2cm未満 5,000〜6,000円程度 2,000円程度

診察料・処方料1,000円程度

検査費用1,000円程度

病理検査費用3,000円程度

2cm〜4cm 11,000〜12,000円程度 4,000円程度
4cm以上 13,000〜14,000円程度 4,500円程度

※お支払いは現金のみとなります。

非露出部の場合(露出部以外)

切除した粉瘤の直径の合計 3割負担 1割負担 別途費用
3cm未満 4,000~5,000円程度 1,500円程度

診察料・処方料1,000円程度

検査費用1,000円程度

病理検査費用3,000円程度

3cm~6cm未満 10,000~11,000円程度 3,500円程度
6cm~12cm未満 12,000~14,000円程度 4,500円程度
12cm以上 25,000円程度 8,000円程度

※お支払いは現金のみとなります。

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